without going | 1

 ……声が出ない。
 キュウゾウが荷物を纏めている。淡々とした横顔。ヘイハチはそれを、見ている事しか出来ない。聞きたい事、云いたい事は無限にあるのに、喉が強張って声が出て来ない。
 やがてキュウゾウは、ボンサックの口を絞った。肩に絡げる。くるりと白皙が、ヘイハチを向いた。
 薄い唇が、小さく動いた。
「世話になった」
 すい、と踵が返る。緋い背中が向けられる。――全ての箍が外れ、ヘイハチは絶叫していた。
「キュウゾウ殿……!」