89小話

 89

 白。| 6

朝日が眩しい部屋の中、ヘイハチは白いシーツに包まれたベッドで目を覚ました。

「……ゆ……め……?」

まだ重たい瞼をこすりながら隣を見ると、
キュウゾウがこちらに背を向けて眠っていた。

露わな白い肩が眩しい。

キュウゾウの腰に回されていた手は、キュウゾウのしなやかな指を絡めとり、握り込んでいた。 確かめる様に、ゆるく力を込めてみる。
すると、無意識だろうに、キュウゾウの手もまた、ゆるく握り返して来た。



ヘイハチはそっと身体を起こすと、腕の中の眠り人を覗き込んだ。

うっすらと開けた桜色の唇から微かに安らかな寝息をこぼし、
キュウゾウは眠っている。

どこかあどけないその表情に、ヘイハチはこころが温まってゆくのを感じていた。

「キュウゾウ……」

ヘイハチは、囁くように名を呼んだ。

キュウゾウは、ん……と小さく声を漏らし、ほんのりと微笑んだ。





おしまい。