Forbitten Love | 1
心地の良い風の中、ひとりで海を見つめる青年。
ここはギリシア、聖域。
周りを海に囲まれ、太陽が降り注ぐ場所。
女神が治める地、聖域。
太古の昔、神話の時代より受け継がれてきた場所である。
その青年はひとりで海を望む崖に立っている。
水色の長い髪をなびかせ、その容貌は美青年と言うに相応しいものだ。
「まさか、このような想いを抱く日がくるとはな…」
誰に言うともなく呟き、自嘲するように笑う。
その手に持つのは一輪の真紅の薔薇。
手を離すとその薔薇はそのまま海へと落ちていく。
「私らしくもない」
ふっと、唇を引き上げる。
(私は、何を望んでいる?)
すでに幾度となく問いかけた言葉を自分の中で問う。
答えなど、見つからないことも知っている。
「アフロディーテ!」
遠くで自分を呼ぶ声が聞こえた。
「今行く」
青年、アフロディーテは自分を呼ぶ声に短く答え、
その場を去った。