Forbitten Love | 2

「アフロディーテ、またお前遅いぞ、何してたんだ?」
アフロディーテへ声を掛けたのは親友でもあるシュラ。
行き着いた先は教皇の間である。
この日は黄金聖闘士揃っての女神への謁見の日であるのだ。
「悪い」
この男に言い訳が通じないことなど百も承知である
アフロディーテは余計なことは言わずに侘びを口にする。
すぐ傍でデスマスクもアフロディーテを見ている。
アフロディーテはデスマスクから視線を逸らし、
そのまま他の聖闘士たちと合流した。
先程呼びにきたのはムウに言いつけられた貴鬼であったが、
その貴鬼はすでに教皇の間を後にしていた。
現在、十二宮には全ての黄金聖闘士たちが揃っている。
ハーデスとの聖戦、その前にも…一度は消えた命。
だが女神の力を持って、ハーデスとの間につかの間の契約が交わされ、
失ったはずの命はその肉体と共に甦ったのだ。
一度ならず数度も女神へ刃を向けた自分までがこうやってここに命があることを
アフロディーテは未だ不思議でならない。
友人であるシュラは昔から女神への忠誠心は強い。
一度女神へ刃を向けたと言えど、
それはサガが教皇だったことを見抜けなかった故。
その後、自分のほうが間違っていると思ったその時、
自分の命を捨て紫龍を助けたと聞く。
彼ならば解るのだ。
だがなぜ自分が…。
「つまらないこと、考えても仕方がねぇぜ?」
聞こえたのはデスマスクの声。
このデスマスクも自分と同じ立場のはず。
だが、彼は悩む素振などみせず常に飄々としているのだ。
周りの人間に己の真意を見せることはまずない。
「お前に言われたくはない」
アフロディーテはにやっと笑うデスマスクへ一瞬だけ視線を向け言い放つ。
わかっているのだ。
これは、この想いは自分との闘いだということも。
アフロディーテがこのような想いを抱くようになったのは
ある人物との再会が原因であった。
それは…。

「瞬」

サガの声が響いた。
「あ、こんにちは」
「悪いな、また色々雑用をやってくれていたようだな」
女神神殿の入り口に居たのはアンドロメダ星座の瞬。
女神の肉体である沙織とは幼い頃からの知り合いと聞く。
また、己自身があのハーデスの器でもあり、神話の時代から数えても
唯一ハーデスの肉体となることを拒んだ、ハーデスが選んだ器、魂。
こうやって女神が聖域に赴く際には時々一緒にやってきて色々と雑用をしたり、
教皇であるシオンやその補佐であるサガの手伝いを買って出ているらしい。
(サガは現在教皇補佐となり、双子座はカノンへと譲られている)
ちなみに瞬以外であれば、星矢、紫龍、氷河が女神の共をすることが多いのだが、
星矢はまず雑用は苦手であり氷河はだいたいカミュのところへ行ってしまう。
紫龍はまぁ、雑用もするのであるがシオンと己の師である童虎の話し相手となることが殆どであるのだ。
にこにことサガと話をする瞬。
「沙織さん…あ、いや女神がお待ちですよ?」
瞬の言葉にサガは頷き、全員を伴って女神神殿へと入っていった。