氷の戸惑い

 氷河瞬

 ものがたりは未だはじまらず | 6

「じゃあ、食後のデザートを賭けて競走しよう!」

瞬の明るい声に、俺は日常に引き戻された。
無意識に捕まえようと伸ばした俺の手を、瞬は優雅な身のこなしで綺麗にすり抜けて行ってしまった。
舞い上がったけやきの葉が、彼の後をすがるようにはらはらと落ちていく。






『捕まえたい』






俺は、また自分の中に燃え上がった熱い炎を認めると、全力で瞬を追いかけた。






fin.