双碧のやすらぎ

 カノン瞬

 vacances バカンス | 2

働き詰めだった聖闘士達へアテナから強制休暇が言い渡されたのは、ほんの数日前の事だった。
彼らが強靱な心と身体をもつ聖闘士達だったとしても、常に緊張を強いられていては知らず知らず心身を蝕んでしまうだろうというのが 彼らを愛するアテナの見解だった。
「いくらあなた達が強くても、たまにはお休みしないと疲れてしまうでしょう?」
だって人間ですものねと、アテナはこんな時だけ普通の女の子の様な口ぶりを装って、にっこりと笑った。
聖闘士達は苦笑いをしながらも、彼らの女神の心遣いを受けたのだった。
ただし、「どうせならみんなで一緒にお休みしましょうよ♪」と、とんでもないことを言いだしたアテナを何とか説き伏せ、 数人ずつ交代で休暇を取ることに落ち着かせるにはいささか苦労をしたようだったが。



与えられた休暇は2週間。
カノンと瞬は、思いがけないアテナからのプレゼントを存分に楽しむ為に、冬の北半球から夏の南半球へ飛び立とうとしていた。



南の島へ行きたいと言ったのは、瞬だった。
冬でも温暖なギリシャにいて南の島に行きたいはないだろう…と、カノンは思った。
テレビや雑誌のイメージなのか、瞬の頭の中には「バカンス=南の島」の図式が刷り込まれている様なのだ。 カノンは笑いながら、「南の島だけがバカンスじゃないだろう」と言いかけてやめた。
蒼い海に浮かぶ南国の楽園で瞬と二人きり、誰にも邪魔されずにゆったりとした時間を過ごす……このチャンスを逃す手はないと考えたからだ。
そして、何やら思惑のあるカノンの手によって、瞬とカノンの「南の島での極上バカンス」は決行されることになったのだった。