カノン瞬
vacances バカンス | 11
軽やかにさえずる小鳥の声と周りの明るさに、瞬は目を覚ました。
「おはよう」
声の方を向くと、カノンが片肘で頭を支えた恰好でこちらを見ていた。
「お…はよ……」
瞬は、あふ…と気怠げにあくびを漏らし、何回かまばたくと、伸びをしようとして固まった。
素っ裸なうえに、鈍い腰の痛みとだるさでうまく動けない。
昨夜の出来事を思い出し、瞬は耳まで真っ赤に染め上げた。
そんな瞬をカノンは面白そうに見つめていた。
「はは…その身体じゃ動けないだろう」
そう言いながら寝乱れた瞬の髪を指で梳いてやる。
「だって、カノンがっ…」
と言いかけて、余計に恥ずかしくなった瞬は、シーツの海へ逃げ込もうとした。
「そうだな、俺のせいだな…って、こらこらこら」
カノンは、もぞもぞとうまく動けない身体で無駄な抵抗をする瞬をシーツごと抱き上げる。そして暴れる瞬を抱えたまま、笑いながらバスルームへと向かって行った。
明るい日差しに溢れるバスルームの窓に瑞々しい森の緑が映えて、清々しい空気に満ちている。
「今、風呂に入れてやるから、大人しくしろっ」
カノンは、ぎゃーという瞬の叫びを無視してシーツを引っぱがし、ザブンと湯船に放り込んだ。
溢れた湯と共に、浮かべられていたプルメリアの花が零れ落ちる。
二人のバカンスは、まだまだ始まったばかりだ。
fin.