抜け駆けなんて許しません! | 1

「筆頭ー!例の品、持ってきましたぜ!」

「Thanks!もう下がっていいぜ。」

たった今、部下に何やら高そうな布を持ってこさせたのは、ここ奥州を束ねる伊達政宗。
彼は部下から受け取ったばかりの布を手に取ると、まるで品定めでもするかのように凝視し始めた。
そんな彼の行動を、傍に控えている片倉小十郎は不思議そうな顔で見つめている。

「政宗様、そんな高そうな布いったい何に使うおつもりですか?」

「HA!いい質問だな小十郎!これでHALLOWEENの時に幸村に着せる衣装を作んだよ。」

あれだけ真剣に見つめていたのだから、さぞかし大切なことに使うのだろうと思っていた小十郎は、政宗のこの言葉に溜息を吐かずにはいられなかった。

「はぁ…。政宗様、一国の主たる御方がそんなことの為に大金を使われるのは如何なものかと思いますぞ…。」

「Ah?これは俺のpocketmoneyなんだからどう使おうと俺の勝手だろうが。それに、てめぇだって幸村の仮装した姿見てぇだろ?」

たとえポケットマネーでも衣装の為にそんな大金を注ぎ込むな!と一喝しようとした小十郎だったが、政宗の言うようにいつもとは違う格好をした幸村を見てみたかったのも確かなので、結局は強く反対することができず政宗の考えに頷くしかなかったのだった。

「くれぐれも相手の迷惑にだけはなりませんよう、お気をつけくださいませ…。」


一方その頃、時を同じくして上田城でも 、忍達の間で同じようなやり取りが繰り広げられていた。

「長、頼まれてた物が届きましたけど、これで何するつもりですか?」

「あぁ、ご苦労様。ちょっと旦那に新しい衣装でも作ってあげようと思ってさ!あっ、出来上がるまで旦那には言わないでよ!」

まるで何かを企んでいるかのような怪しい笑みを浮かべた佐助に、部下の忍は恐怖でも感じたのか、すぐに無言で頷くと音もなくその場から立ち去った。


こうして、一ヶ月後に迫った一大イベントで己の計画を成就させるため、幸村に想いを寄せる二人は寝る間も惜しんで、それぞれが思い描く衣装を作り始めたのだった。