アルコールスパイラル 〜Happy Halloween 2009 | 3
<1.ミイラ男>
今日のシュラはミイラ男です、頭のてっぺんから爪先まで包帯だらけですね、誰が巻いたんでしょうって、もちろんうちの師匠です。ああいう巻く・縛る系が得意なのは大人の事情です。ちゃんと酒が飲めるようにって、顔はしっかり出ています。器用ですね。
そんな彼がふらふらとやってきました。
「盟、タンカレー」
「はーい只今っ」
「牛タンカレー?」
瞬、定番ボケ。
「瞬か。タンカレーはジン、酒の一種だ。子供が飲むなよ」
俺はアイスを削りながら、瞬の酔っ払いがバレやしないかと気を揉んでいた。アルコールを盛られたのが星矢なら周りもそれほど過保護にならないが(むしろ社会勉強とかいって温かい目で見守りそう)、瞬とあっちゃあ、黄金の兄さんたちは黙っちゃいないだろう。
ところがシュラは、瞬の様子に気付かない。っつーことは、結構回ってるな。
「シュラ、どうしたの? 眉間に縦ジワ寄ってる」
「うむ…」
「また紫龍にフラれた?」
ぐっ… いつもながら直球ね。みろよ、シュラさん、返す言葉ないぜ?
「悩まないでよシュラ。紫龍は義理が固すぎるの。老師と師弟契約結んだら、他の師匠を持っちゃいけないって思いこんでるから」
「俺が奴にエクスカリバーを授けたのは、迷惑だったのだろうか… あれは己の信に命を懸ける紫龍への、せめてもの餞のつもりだったのだが… 俺のかわりにアテナへの忠義を全うせよと… 君にアテナを託すと…」
ああ、後ろ向きモードが(涙)
「そんなことないよ! エクスカリバーは紫龍をいつも助けたよ!」
「そうだといいのだが…」
「紫龍も紫龍だよ、こんなにシュラが思ってるのに… 紫龍がシュラの弟子にならないなら、僕がなる!」
「本当か?!」
おま、こーいう場でそーいうこと言うな! 酔っ払ってるシュラは普段に輪をかけて冗談が通じないの! …うわー、滝涙。心に血の涙は流しても、常に鉄面皮のシュラが滝涙。
責任取れよ瞬。
シュラがすっくと立ち上がる。
「では早速、明日にでも磨羯宮に来い、接近戦の体術のいろはを」
「あっ」
瞬がシュラの肩に手をかけた。
「シュラ、包帯ほつれてる」
くっ、と引っ張ると、するする包帯がほどける。
あれ? シュラ、素肌に包帯巻かれてるの?
って瞬、ほどくなほどくな! みるみるシュラの胸板が露に…
「わー面白い」
やめんか! それ以上ほどいたら…
傍目には、脱いだシュラが瞬を襲うようにしか見えない。
その時、一陣の紅い突風が吹きぬけた。
眩しさに、俺は目を閉じる。
「鳳・翼・天・翔―――――――ッ」
目を開けると、シュラが伸びている。
「あれっ、シュラ、どうしたのっ? どうしたのっっっ?!」
どうしたもこうしたも瞬、お前また召喚… しかし奴の姿はない。
「はーい救急班!」
俺は助けを呼んだ。