アルコールスパイラル 〜Happy Halloween 2009 | 4
<2.フランケンシュタイン>
「アブサン」
「ストロング? デリリウム? どっちも現地調達ッス」
「デリリウム」
師匠だ。俺は酒を注ぐと角砂糖に火を灯し、次いで師匠の煙草にも火を付けた。
「こいつに関しちゃお前サマサマだな」
「はは、お褒めに与り光栄」
というのも今や、真正のアブサンはすべて密造で。俺は独自の仕入れルートを持っている、もちろん師匠の命で開拓した。絶対に摘発されない自信あり。
ゆらめく炎、の向こうで、今日の師匠はフランケンシュタイン。とはいえハマりすぎて素だよなあ。顔じゅうツギハギのメイクはアフロさんがやりました。
「デス、ひさしぶりー」
「おー瞬坊、今年も似合ってるじゃないか」
「えへへ」
うーん、この場の空気に瞬は不釣り合い… まあ、いいか。
「それ何? 緑の。スライム?」
「おー、スライムならイケナイアソビに使えるねー。残念ながらこれは酒だ」
「何カレー?」
「食べてみる?」
焦げてきた角砂糖をジュっとアルコールに浸し、少し指先に乗せると、師匠はそれを瞬の口元に運んだ。
「?! …っ …」
「ははは、オコサマには早えーよな。盟、水やれ」
「はいはーい」
「…いぢわる」
「そう? まー安心しな、アフロもこの酒は嫌いだ。度数が高いだけの下品な酒とか言いやがって、分かっちゃいないねえアイツも」
「アフロは何が好き?」
ポツリと言った瞬は、グラスに視線を落とす。
「この服も、アフロが僕に似合うって言うから着たけれど… 僕、大人が喜ぶものってわからない。今まで貧しかったし、世間知らずだし」
「かわいーねえ瞬坊。でも、あいつも、高価なものばっか喜ぶような馬鹿じゃない。お前が笑ってりゃ、それでいいんじゃね?」
「んー…」
「不服?」
「本当は、自分でもどうしたいのか分からない」
「知りたい?」
師匠は瞬に向き直ると、頬に手をかけた。
師匠、それ今日の死亡フラグっす。
「鳳・翼・天・翔―――――――ッ」
吹っ飛ぶ師匠はほっといて、俺は逃げようとする一輝をつかまえた。
「一輝… ナニソレ… ぶっ」