アルコールスパイラル 〜Happy Halloween 2009 | 5
<3.狼男>
顔というか首まで真っ赤になった一輝は、茶色い尻尾に茶色い耳。
「…ねこにぃに?」
「…狼男だ」
「見えねえ、ねこにぃに」
「やかましい」
ぐっはー、さすがのコイツもアテナの命には逆らえないですか!
そっか、この姿を瞬に見られたくないわけね。
「一輝、顔かせよ」
瞬が師匠に気を取られる間、俺はカウンターを離れ、一輝を連れ出した。
「にーさん、吹っ飛ばすのはうちの師匠だけにしとこーよ? シュラさんとか悪気ないってば」
「あいつら三人は信用ならん」
「言うねえ俺の前で」
「瞬を邪悪な道に連れ込むな」
「師匠はともかく、あとの二人は邪悪じゃないと思うけど… それとも、瞬に手を出す輩はみんな邪悪?」
「当然だ」
臆面もなく言うわね、この人は。
「じゃーさ」
俺は壁際の一輝に向かいあい、片手を壁についた。
そのまま距離を詰めて、瞳を見る。
「既成事実作っちゃうぜ? 口出せねーよーに」
一輝の顔に焦りが走る。
昔から俺に逆らえないッ、からかうと超面白え…
「ア ク ベ ン ス ッ !!」
ぐはっ…
みぞおちに鉄拳を喰らって、俺は倒れた。
本来、敵の身体が真っ二つになるほどの破壊力を持つ技… 師匠(生きてたんですね)…
「フェニックス、この馬鹿が失礼した」
「あ、ああ…」
一輝は呆気に取られながらも、すぐに師匠を睨んだ。
「猫、似合ってるぜ」
「ぐっ…」
「二度と粗相のないよう、盟は俺がしつけておく」
師匠は俺をひょいと担いだが、去り際にニヤリとして一輝を振り返った。
「貸しひとつ」
師匠、しょーもないっすよ… 頼むからもっといいもん貸してやってください。
つか一輝、お前も真顔で頷かんでよし。