ねこまつりのよるに| 3

「ウワーッハッハッハ、愚かなりアフロディーテ!」
高らかな笑い声の方を向くと、そこにはマント… ではなく、なぜか白衣を翻しながらカノンが立っていた。
「カノン!」
黒い瞬がぴょん、とカノンに飛びついた。
「アフロディーテ、煮え切らない貴様は瞬にふさわしくない。瞬は俺のものだ」
「そうだなあ、じゃあカノン、僕のこと愛してるっていう証拠を見せて欲しいなあ」
カノンはゆっくりと跪き、瞬のブーツの爪先に口づけた。
「カノン!貴様、自分が何をしているか、分かっているのか?!」
「馬鹿げたことを聞くな」
「ねえカノン、僕もカノンのこと愛してる。だから馬になって!」
カノンは跪いた姿勢から瞬に背を向けた。
瞬はカノンの背に跨り、満足げにはしゃぐ。
「馬におなりなさい!なんちゃってー!」
「まあ瞬ったら。ほほほほ」
アテナまで?!

「瞬を泣かせたのは貴様か、ピスケス!」
一陣の風と共に真紅の小宇宙が舞い上がった。まさか、噂には聞いていたが、こんな時に奴が現れたと?
「魚の分際で瞬に手をかけるなど笑止千万、この一輝が成敗してくれるわ!」
こいつが青銅一の実力と呼び声も高いフェニックス!しかし… しかしだ。
「フェニックス、拳を交える前に一つだけ答えよ。何故、貴様にも猫耳が生えている?」
「やかましい!」
「にゃ〜ん、にぃに!にぃに!」
白猫瞬がフェニックスに飛びついた。途端にフェニックスの顔が赤くなる。
「瞬!人様の前でにぃには止めろと、あれほど言っただろう」
「だってー、にぃにはにぃにだもんっ」
勝手にやってくれ。
「待てピスケス、こら聞け!二度と瞬に近づけぬよう、その息の根止めてやる!受けよこのフェニックス最大の奥義…」
来るか猫耳の分際で!
「鳳 翼 天 翔 ――――ッ」

くっ… 瞬がいるので迂闊に攻撃できない。
「無様だな、アフロディーテ」
カノンが嘲ったが、こいつはまだ黒猫瞬の下で馬になっている。
「お前に言われたくない」
「アフロディーテよ、冥土の土産にとくと聞け。自らの欲望に正直になれぬ者は、滅びの道を歩むのみ」
ああ、御伽噺はそんなオチだったか?
「見るか星々の砕ける様を」
「その体勢では何ら説得力がない!」
「ギャラクシアン・エクスプロージョン!」

ホワイトアウト。
カノンの拳をよけきれなかったようだ。
でも、瞬さえ無事ならそれでいい。