星屑の革紐 | 9
雨天のせいで太陽に位置を確認することが絶望的になった。
沙織は時計を見つめる。
「ハーデスはまだ見つかりませんか!?」
「は、グラード財団系列のすべてを駆使しておりますが……」
あと五分。あと五分で瞬はあのエロジジイの愛人にされてしまう。
それだけは絶対に阻止しなければ。
しかし星矢たちからの連絡も芳しいものではなかった。
ただ最後まで諦めないで探してみると走り回ってくれているらしい。
時計の針は無情にもあと四分と刻んでいる。
「瞬……ハーデス……」
不思議な縁で結ばれ、星に未来を誓った二人――あんなに幸せそうに笑っていたのに。
「あのバカオヤジ……」
そう毒づいている間にもまた一分が過ぎた。
しかし最後まで諦めないのがアテナの聖闘士の善しにしろ悪しきにしろ特徴なのである。
小宇宙と愛と生命があれば何でもできる。
今回は小宇宙が使えないが、愛と生命はふんだんにあった。
それが冥王と瞬の運命のすべてだったのである。
誰もがもうダメだと思ったそのとき。
窓の向こうにふたつの強烈な小宇宙を感じたのだ。