薔薇の惑い

 アフロ瞬

 Angel Trip | 5

ぽつりぽつりと僕の顔を雨が濡らす。
あたたかい雨だね。
そうだ、アフロディーテに傘を持っていかなくちゃ。
このあいだ買った、空色の傘。
気に入ってくれるかな?
きっと彼によく似合うと思うんだ。

…あれ?これは夢?…僕は…夢を見ているのか…。

僕はゆっくりと夢から覚めて目を開けると、アフロディーテが笑ったような怒ったような複雑な顔をして泣いていた。
涙の雫が彼の長い睫毛を一粒、また一粒とつたって、僕の顔に降ってくる。
雨だと思ったのは、アフロディーテの涙だったんだね。
「この…バカ者がっ…」
彼の絞り出すような苦しげな声で、僕はようやく何が起こったのかを思い出したんだ。

初めて見たアフロディーテの涙に、僕の胸がはち切れそうになった。
「ごめんなさい…」
その瞬間、僕はアフロディーテの胸にすっぽりと包まれていた。





「ごめんなさい…ごめんなさい…アフロディーテ…ごめんね…」
瞬はアフロディーテの背に手を回し広い胸に顔を埋めると、しがみつくようにして何度も謝った。
「よかった……瞬……」
アフロディーテは腕の中のぬくもりを確かめながら、泣きじゃくる瞬の髪をやさしく撫で続けていた。