氷河瞬
僕がどれだけ君を好きか、君だけが知らない | 2
今日は珍しく、氷河から「散歩に行かないか」って誘ってもらえて嬉しかった。
だって、いつも僕のわがままに付き合わせてるみたいで悪いなって思っていたから。
だからついつい、鼻歌混じりに足取りも軽くなる。
でも、きっと氷河は無表情。
氷河のほぼ完璧に整った顔は滅多に表情が出ないけれど、実は氷河の眼が驚くほど表情豊かなのは、
いつも近くにいる僕たちには言うまでもなく周知の事実だ。
あの星矢だってすぐにわかってしまうくらいなんだから、相当おしゃべりな瞳だよね。
今日、僕に声を掛けてきた時、彼の澄んだブルーの瞳には濃い決意の色が浮かんでいた。
でも今はきっと、淡く揺れて迷ってる。
だから僕は振り向かない。
枯れ葉と戯れているうちに、いつの間にか、けやき並木も終わりに近付いていた。
城戸邸を出た時にはまだ明るかったのに、すっかり陽は傾いて辺りは赤く染まっている。
僕は歩くスピードをゆるめると、自嘲的にふっと笑った。
氷河はまだ追いつかない。