イオ瞬

 通り雨 | 2

部活を終え、校門を出たところで仲間たちと別れた時は、まだポツポツと降り始めだった。
朝の天気予報では激しい夕立に注意と言っていたし、常に過保護で心配性の兄からはシッカリと傘を持たされていた。
雨粒が徐々にアスファルトを黒く染めてゆく中、彼らしい水色チェックの傘を開き歩き出す。
──本降りになる前に帰ろう。
瞬が家路を急ごうと傘を傾け足を早めた時、どこからか微かな鳴き声が聞こえた。

「?」

雨音に紛れ、注意しないと聞き取れないほどだが確かに聞こえる。

「どこ?」

ぐるりと辺りを見まわす。すると、電柱の陰にくたびれた小さな段ボール箱を見つけた。

「みゅー…」

覗き込んだ中に、タオルにうずまるようにして仔猫が顔を出していた。
小さな身体に雨が降りかかる。瞬は慌てて傘を差し掛けた。

「捨て猫…?」
「……にぃ、にぃ〜」

愛らしく見上げてくる仔猫を抱き上げてやりたいけれど、

「うちのマンション、ペット禁止なんだよね……」

抱き上げたら最後、そのまま手放せなくなるのは必定で……。
どうしたものかと瞬は眉を下げた。