イオ瞬

 通り雨 | 5

「一体どうしたんだ!こんなところで」

彼はずぶ濡れの瞬を見るなり、目を丸くして叫んだ。
慌てて自分も軒先に入ると、バッグからタオルを取り出し頭から被せてわしゃわしゃと拭う。

「ぃ…イオ…さん!?」

いささか取り乱し気味のイオに驚きながら瞬がタオルの礼を言うと、イオは一瞬はっとして瞬の身体を拭う手を離した。
一歩下がると瞬から視線を外し、何ごとかもごもごと呟くイオに瞬は首を傾げる。
暖かい季節だからといってやはり濡れた身体は冷えていたようで、イオから借りた大きめのスポーツタオルであらかたの水分を取るとじわりと体温が戻ってきた。

「すみません、タオル、こんなにしちゃって……洗って返しますね」
「いや、いいんだ。それよりどうしたんだ、こんなに濡れて……君らしくもない」

そうですね、と瞬が苦笑する。

「実はさっき捨て猫を見つけて……。でも、ボクの住んでるマンションはペット禁止だから保護してくれる友人に連絡とろうと思ったんですけど、あいにく家に携帯忘れちゃって」

だから、とりあえず仔猫が濡れないようにと傘を置いて携帯を取りに帰ろうと思ったのだ、とイオに説明した。

「そうか、ではこの傘は君のだったんだな」

さっき差していた傘を、ほら、と瞬の目の前に持ち上げる。
見覚えあると思ったのは、やはり自分の傘だったからなのだ。よく見るとイオの肘には彼の物だと思われる黒い傘が掛かっていた。

「じゃあ……」

仔猫は……と瞬が言おうとすると、

「にゃあ」

イオの学校指定のベストの胸元がもぞりと動き、例の仔猫が顔を覗かせた。