抜け駆けなんて許しません! | 3

「Trick or treat!幸村!つうことで菓子を寄越しな!」

「政宗殿!?とっ、とり…くとりいと?とはなんのことで…?」

聞き慣れない言葉に 首を傾げる幸村に、佐助と同様に衣装らしき物を手にした政宗がどんどん近づいていく。

「Trick or treatだ!菓子をくれなきゃいたずらしちまうぞって意味だよ!見たところ、ここに食い物はねぇみてぇだし、遠慮なくいたずらさせてもらうぜ? you see?」

言いながら幸村の目の前まで来た政宗は、戸惑う幸村にお手製の衣装を着せるため、現在着用中の着物を脱がせようとしたのだが、政宗が着物を掴むよりも速く何者かによってその手を叩かれた。

「ちょっとあんた、いきなり現れといて何勝手なこと言ってるわけ?旦那は今からこれを着て俺様とお団子を食べるんだよ!」

その手は、さっきまでいきなりの政宗の登場に呆気にとられていた佐助のものだった。
例の衣装を握りしめながら本気で怒る様子は端から見ると非常に滑稽である。

「Ah?そんなダセェ衣装を幸村に着せるつもりかてめぇは?幸村には俺の作ったこの服を着せんだからsenseのねぇ奴は引っ込んでな!」

「はぁ?センスがないのはあんたの方でしょ?そんな露出の多いヤラシイ衣装が無垢で可愛い旦那に似合うわけないじゃん…!」

政宗がさっきから手にしている衣装はといえば、佐助がヤラシイと称するのにも頷けるくらいに布の少ない物だった。

「たく…、分かってねぇ野郎だな…。純真無垢でcuteな幸村だからこそ、この小悪魔をimageしたようなセクシーな衣装が良いんじゃねぇか!これを着て恥じらう幸村とかもう最高だろ?」

恥じらう幸村の姿を想像し、確かに有りかもしれないと思ってしまった佐助は、思わず政宗の台詞に納得してしまいそうになったが、ここはなんとしても譲りたくないらしく慌てて緩んだ頬を引き締める。

「恥じらう旦那もそりゃあ堪らないだろうけど、やっぱり俺様の作ったこの衣装のほうが旦那には絶対似合うと思うけどね!なんたって誰よりも旦那の魅力を分かってるのはこの俺様だし?」

「HA!幸村の魅力を一番分かってんのはrivalでもある俺に決まってんだろうが!」

「はぁ?たまにしか会えないただのライバルなんかより、四六時中一緒にいる俺様のほうが分かってるに決まってんじゃん!」

「Ah?rivalは重要だろうが!付きまとってるだけのただの過保護な忍は黙ってろよ!」

もう衣装のことなどそっちのけで言い争いを始めた政宗と佐助に間に挟まれた幸村はオロオロしているが、そんな幸村を気遣うことなく二人の言い争いは激しさを増していく。

「ちっ…、こんなんじゃいつまで経っても埒があかねぇ…。とりあえず、両方の衣装を着せてみてどっちが似合うか確かめてみようぜ…。」

「あんたなんかが作った衣装を着せるのは気に入らないけど…、まぁ、それが一番手っ取り早いかもね…。」

あれから数十分にもわたる言い争いの末、なんとか当初の目的であった衣装の話まで戻ることが出来た二人は、幸村の意見も聞かずに勝手に話を纏めると、いい加減ウンザリしていた幸村に衣装片手ににじり寄る。